医師のバイト代、確定申告で実際につまずいた点

医師のキャリア

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非常勤のバイトを始めてから、確定申告は毎年3月に追加で払うものになりました。

バイト代からも税金は天引きされています。それでも足りない。そして若い頃は、3月に払い終えて安心していたら、夏に税務署からもう一度払う通知が届いて驚いたことがあります。予定納税という制度を知らなかったためです。

確定申告の解説記事は、税理士やFPが書いたものが検索上位に並んでいます。内容は正確ですが、「実際にどこで引っかかるか」は書かれていません。中には、医師の給与所得には当てはまらない説明が混ざっているものもあります。

この記事では、三児の父で内科系の勤務医である私が、毎年の申告で実際に気をつけている点と、若い頃につまずいた点を順番に書きます。

バイトをしている勤務医は、ほぼ全員が申告の対象

まず前提です。国税庁の基準では、給与所得者でも次のどちらかに当てはまれば確定申告が必要です。

  • 給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与(=バイト代)と他の所得の合計が20万円を超える
  • 給与の年収が2,000万円を超える

「20万円以下なら申告不要」という話はよく聞きますが、医師のバイトで年間20万円に収まることはまずありません。時給1万円なら、2日半で超えます。定期でもスポットでも、バイトをしているなら申告するものだと考えておくのが現実的です。

私の場合、手元に集まる源泉徴収票は本業を含めて毎年2〜3枚ですが、多い時には5枚以上にもなったりすることがあり、忘れているものがないかハラハラすることもあります。

毎年3月に追加で払うことになる理由

バイト代にも源泉徴収はかかっています。それでも3月に追加納付が発生するのは、仕組み上そうなるからです。

バイト先の給与は「従たる給与」として、源泉徴収税額表の乙欄(契約期間2か月以内の日雇いなら丙欄)で天引きされます。この天引きは、あなたの本業の年収を知らない前提で計算されています。そして従たる給与は年末調整されないので、確定申告で本業と合算したときに差額が出ます。

勤務医の本業の年収だと、差額はほぼ確実に「足りない」側に出ます。理由は2つあります。

  1. 給与所得控除は年収850万円超で上限195万円に達している。バイト代は控除されず、ほぼ丸ごと課税所得に上乗せされる
  2. 上乗せされる部分には、基本的に本業の分で到達している一番高い税率がかかる

時給1万円・8時間のバイト1日分(8万円)で、かかる税金を計算するとこうなります。

課税所得の区分所得税+復興税住民税(10%)税金合計手取り手取りの時給
695〜900万円(税率23%)18,786円8,000円26,786円53,214円約6,650円
900〜1,800万円(税率33%)26,954円8,000円34,954円45,046円約5,630円

※バイト先で社会保険に加入しない前提。住民税は翌年6月から本業の給与で天引きされる分

時給1万円は、手取りだと5,600〜6,700円前後です。天引き済みの分と、この合計との差額が3月の追加納付になります。

私は毎年、3月の追加納付は数十万円になるものと想定して、心づもりをしておくようにしています。

3月に払い終えても、7月にもう一度来る

私が若い頃に一番驚いたのがここです。

3月の申告で納めた税額(申告納税額)が15万円以上になると、翌年は予定納税の対象になります。その年の税金の前払いとして、前年の申告納税額の3分の1ずつを7月と11月に納めます。

制度を知らないと、「3月に払ったのに、なぜまた請求が来るのか」となります。私もそうでした。実際は二重取りではなく、翌年3月の申告で予定納税分が差し引かれます。ただ、手元の現金が夏と冬にも出ていくことに変わりはありません。

バイトを減らしたなど、その年の所得が明らかに少なくなる見込みなら、税務署に減額申請を出せます。育児で働き方を変えた年は、ここを覚えておくと現金の出入りがかなり楽になります。

学会費や医学書は、経費として引けない

「医師は学会費や医学書を経費にできる」と書いている記事があります。給与所得の場合、原則としてできません。私も何も計上していません。

給与所得の「経費」に当たるのが、先ほどの給与所得控除です。実際の支出を引けるのは特定支出控除という制度だけで、条件は次のとおりです。

  • 特定支出(研修費、図書費、交際費など)の合計が、給与所得控除額の2分の1を超えた部分だけが控除される
  • その支出が職務に直接必要だと、勤務先の証明を受ける必要がある
  • 図書費・衣服費・交際費などは合計65万円が上限

年収850万円超の勤務医なら、給与所得控除は195万円で、その半分は97.5万円です。学会費と医学書で年間97.5万円を超え、さらに勤務先の証明まで取る、というのは現実的ではありません。

講演料や原稿料を「雑所得」として受け取っている場合は話が別で、そちらは経費を差し引けます。バイト代(給与)とは分けて考えてください。

住民税は「自分で納付」を選んでも本業から引かれる

バイト分の住民税を本業の給与から天引きされたくない、という話もよく出ます。申告書には住民税の徴収方法を選ぶ欄があるので、そこで「自分で納付」を選べば分けられる、と説明している記事もあります。

給与所得の分は、そもそも選べません。国税庁の申告書作成コーナーでも、給与所得に係る住民税は原則として特別徴収(給与天引き)で、徴収方法は選べないと明記されています。自治体側でも、2か所以上の給与を合算して本業の勤務先から天引きする運用の徹底が進んでいます。

選べるのは、不動産所得や雑所得など給与以外の所得の分だけです。私は特別徴収のままにしています。

e-Taxで手入力になったところと、還付が出たときの確認

申告はスマホのe-Taxで行っています。マイナポータル連携を使うと、源泉徴収票のデータを自動で取り込めます。基本的にはうまく取り込めましたが、バイト先の医療機関の源泉徴収票が取り込まれず、手入力したことがあります。

自動で取り込めるのは、勤務先がe-Taxで提出した源泉徴収票だけです。紙で提出している勤務先の分は出てきません。取り込みが終わったら、手元の源泉徴収票の枚数と、申告書に並んだ勤務先の数が合っているかを必ず確認しています。

これを怠るとどうなるか。知り合いの医師で、確定申告に慣れておらず、本業の病院の収入を入れ忘れた人がいました。年収が実際よりずっと低く計算されて還付になり、仲間に指摘されて後から気づいて慌てていました。

勤務医がバイトをしていれば、結果は追加納付になるのが普通です。ふるさと納税や医療費控除、住宅ローン控除の初年度などで還付になることもありますが、そうした心当たりがないのに還付の結果が出たら、入力漏れを疑うのが安全です。

もう一つ、ふるさと納税のワンストップ特例を申請していても、確定申告をすると特例は無効になります。寄附金控除は申告書に自分で記載する必要があります。私は毎年、申告書に入れています。

手取りで考えると、バイトの選び方も変わる

時給1万円が手取りでは5,600〜6,700円前後になると分かると、以前の記事で書いた移動時間の重みが一段と増します。往復2時間かかる求人は、手取りの時給で見るとさらに見劣りします。

私は求人サイト、エージェント、スポット求人アプリの3つを併用して探しています。このうち求人サイトとエージェントの役割を1つでカバーできるのが、医師バイトドットコムです。運営はメディウェル(アインホールディングス子会社)で、定期非常勤・スポット・日当直を扱っています。

それでも、うまくいっていないこと

申告自体は毎年大きな問題なく済んでいます。うまくいっていないのは、ふるさと納税の枠を埋めきれないことです。

ふるさと納税の控除上限は、その年の所得で決まります。うまく使おうと毎年頑張っているのですが、結局枠を使い切れずに年が終わる、というのが毎年のことです。理由は単純で、寄附先を選ぶ時間がないからです。枠があることは分かっていても、選ぶ作業が後回しになったまま年末を迎えます。

3月の追加納付も同じで、数十万円になると心づもりはしているものの、別口座に分けておくところまではできていません。3月の追加納付、7月・11月の予定納税、それに加えてふるさと納税。バイトをしている勤務医の税金は、年に何度も「まとまったお金が出ていく時期」があります。仕組みは分かっていても、毎回それなりに身構えるのが正直なところです。

まとめ

  • バイトをしている勤務医は、ほぼ全員が確定申告の対象
  • バイト代は乙欄・丙欄で天引きされるが、本業と合算すると3月は追加納付になるのが普通。時給1万円は手取りで5,600〜6,700円前後
  • 申告納税額が15万円以上なら、翌年7月・11月に予定納税が来る。所得が減る年は減額申請ができる
  • 学会費や医学書は、給与所得では原則として引けない
  • 給与所得の住民税は、「自分で納付」を選んでも本業から天引きされる
  • e-Taxの自動取り込み後は、源泉徴収票の枚数と勤務先の数を照合する。心当たりのない還付は入力漏れを疑う

参考にした資料

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